この著者にしてこの書あり

風詠社の出版物と著者の紹介
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この著者にしてこの書あり8
近代史を背景に人間の業を見据える



三宅徹児『カルマ』


前著『スイサイドホテル』では、北関東のホテルを舞台に、
そこを訪れる人々の人間模様が描かれていました。
本書は、明治、大正、昭和そして平成に至る日本の激動の時代を背景に、
革命のため生地ウラジーミルを逃れたロシア貴族の血を引く美貌の女性、
貴美子が主人公で、彼女をめぐる様々な人間の業が陰影豊かに描かれます。

著者は1950年、福岡県北九州市のお生まれですから、
戦争を知らない団塊世代ですが、
本書の前半に紙幅を費やし描かれた戦前・戦中・戦後の中国や日本社会の情景は生々しく、著者のこの時代への関心の高さが伺えます。
「昭和20年8月9日、長崎に落とされた原爆は、著者の故郷の小倉に投下される予定だった」という事実も文中に語られますが、
偶然の積み重なりで分かれる人々の生と死、
そしてまた、親から子へとDNA及び環境を通じて引き継がれる人の「業」というもの。

個人を超えたところにある人間の運命というものに対する著者の探求心は、
尽きることがなく、新しい「物語」を生み出す原動力となっているようです。

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