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絵本の自費出版とは?印税や費用、流れ、メリット・デメリットを解説

子どもたちを笑顔にしたい人やすてきなストーリーを考えている人などにとって、自費出版は絵本作家になる近道です。今回は絵本を自費出版するまでの流れや印税、費用などを紹介します。絵本の出版をお考えの方はぜひ参考にしてみてください。

絵本の自費出版とは



自費出版では小説やノンフィクションから写真集まで、あらゆるジャンルの本を出版できます。もちろん絵本も例外ではありません。絵本を自費出版すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。自費出版にデメリットはないのでしょうか。まずは絵本を自分で出すメリット・デメリットを解説します。

絵本を自費出版するメリット



赤ちゃんや幼児向けのものから、大人向けのものまで、絵本にもさまざまな種類があります。どのような絵本でも自費出版なら、世界に一つだけしかないあなただけの世界を一冊の絵本として表現できるでしょう。

編集や製本を行うのは、出版のプロ。仕上がりは、書店に並んでいる絵本と同じクオリティーです。取次会社(トーハン・日販など)を通じて、一般的な商業出版と同じルートで絵本を流通させるサービスを行っている出版社に依頼すれば、実際に書店で絵本を販売できます。もちろん電子書籍としてインターネット書店での販売も可能です。

絵本を自費出版するデメリット



絵本を自費出版するデメリットは、費用が必要な点です。絵本を商業出版で出す場合、基本的に著者に費用負担は発生しません。しかし自費出版では、編集費・装丁費・入力データ作成費・印刷製本費などがかかります。

絵本の場合であれば、ハードカバーやフルカラー印刷などを選ぶ著者が多いため、コストも高くなるのが一般的です。

絵本を書店に流通させる場合は、流通コストや送料が必要なこともあります。新聞広告を希望するなら、広告宣伝費や販促費も別途、必要になるでしょう。

自費出版した絵本の印税(売上還付金)



印税とは出版社が著者に支払う著作権料のことです。自費出版でも絵本が売れたら著者に金銭が支払われますが、一般的には印税と呼ばずに「売上還付金」と呼ばれます。印税と売上還付金はどこが違うのか、紹介します。

商業出版の印税



商業出版での印税には、発行部数に応じて支払われるもの(発行印税)と、売上数に応じて支払われるもの(売上印税)の2種類があります。

著者が受け取る印税額は「本の価格×(発行部数or実売部数)×印税率」で決定します。印税率は出版社によって異なり、商業出版では5〜10%が相場です。

例えば1000円で販売する本を5000冊発行して印税率が10%なら、発行印税の場合は50万円の印税が著者に支払われます。これは絵本も通常の書籍も変わりません。

自費出版の売上還付金



商業出版では印税=著作権使用料として、出版社が著者に金銭を支払いますが、自費出版では本の所有権が著者サイドにあることから印税でなく、一般的には売上還付金と呼ばれています。

それぞれの出版社や契約によって売上還付金の割合は異なり、自費出版の売上還付金は、本の売上の20%以上が相場です。出版社によっては50%くらいに設定されているケースもあります。売上還付金のシステムも、絵本と通常の書籍も同じ扱いです。

絵本を自費出版する流れ



絵本を自費出版するには、まず原稿をつくりましょう。絵は手書きでも、Photoshopなどのソフトを使用してパソコンで描いても構いません。

気を付けたいのは、絵本原稿のルールを守ることです。絵本の原稿では外側に3mmほど塗り足すことや、中央の綴じ部分に絵や文字を描かない「のど(綴じ部分)」を設けることなど、独自の決まりがあります。ルールに不明な点があれば、編集者に問い合わせてみてください。

原稿が完成したら出版社の指定する方法(郵便・データ送付など)で送りましょう。原稿を見た編集者から、企画見積書が提示されるので出版費用や本の仕様などに問題がなければ出版契約を結びます。

契約が成立したら、編集者が初校に向けて原稿の整理、ページレイアウトなどを行います。編集後には、ゲラ(校了前の原稿)が送られてくるので、確認して直したいところがあれば訂正してください。デザイナーからも表紙などの装丁デザインが提示されるので装丁も確認しましょう。

編集・校正が完了すれば、いよいよ印刷工程です。絵本などのビジュアル本については、この段階で色校正も行います。印刷が終われば製本された絵本が著者に届き、流通させる場合は、書店にも絵本が送られ、発売日に店頭に並びます。

絵本の自費出版にかかる費用



絵本を自費出版する際の費用は、出版社によって変わってきます。出版を希望する絵本のサイズ・カバーの種類(ハードカバー・ソフトカバー)・ページ数・出版部数によってもかかる費用が大きく変わってきます。そのため一概に相場を示すのは難しいのが正直なところです。

例えば書店に流通しない「私家版」の絵本を10冊つくるだけなら、10〜30万円くらいの範囲で収まるかもしれません。しかし同じ本でも1000部を刷って書店に流通させるなら、費用は跳ね上がるでしょう。部数だけでなく私家版か、書店に流通させる委託配本型かによっても費用は変わってくるのです。

出版社の中には、サンプル価格を自社サイトに掲載していることがあります。サンプル価格を参考にするのも費用の相場を知る方法の一つでしょう。おすすめするのは、出版社に見積もりを出してもらうことです。無料で見積もりを行っている出版社も少なくありません。できれば複数の出版社に合い見積もりを出してもらえば相場もつかめるはずです。

まとめ



最近は『えんとつ町のプペル』(幻冬舎)や『ママがおばけになっちゃった』(講談社)がベストセラーになるなど、絵本市場が注目を集めています。ベストセラーを狙う絵本出版でなくとも、少ない費用で流通を目的としない出版も可能です。

人の心を動かす絵本の出版を考えているなら自費出版も選択肢の一つ。中にはかわいいお孫さんのために絵本を自費出版する方もいるでしょう。絵本作家になりたい方はぜひ本記事を参考に、自費出版を検討してみてください。

こちらの記事の監修者

自費出版の風詠社コラム編集担当 大杉剛

  • 株式会社風詠社代表取締役社長。
  • 1979年3月、早稲田大学第一文学部ロシア文学専攻卒業。
  • 畜産関係業界紙編集記者を経て、印刷会社でシャープ(株)の社内報編集を担当。
  • その後、東京および関西に本社を置く自費出版会社3社に勤務し、企画・編集した書籍は450点以上。2008年に株式会社風詠社を設立。自費出版の編集歴は30年以上。
  • コラムでは、読者の皆様や自費出版を検討されている方に、有益な情報をお届けすることを目標に執筆しています。

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