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自費出版の校正のコツは?校閲と校正に違いはある?

校正は、書き上がった原稿に誤字脱字、表記ゆれなどがないかを確認・修正する大切な作業です。

自費出版をする上で、精度の高い校正を行うコツは4つあります。原稿をプリントアウトしてチェックすること、数回に分けて時間を空けてチェックすること、文字を記号として捉えること、素読みをすることです。

本記事では、4つのコツの具体的な方法や校正と校閲の違いについて解説します。

自分で校正する際に押さえておきたい4つのコツ



自費出版の際、完成した文章を校正するときは、次の4つのコツを押さえましょう。校正の精度があがり、原稿のクオリティがアップします。

1. プリントアウトしてチェックする



「メディア論」のマーシャル・マクルーハンの研究によると、反射光と透過光には性質の違いがあり、それによって脳の認識モードが変わるとされています。反射光とは、紙媒体などの外部から光を反射するものを指します。一方透過光とは、パソコンのモニターのようにそのものが発光してその画面を表示しているものが該当します。

反射光と透過光でそれぞれ表示された情報を頭に入れようとしたとき、前者のほうが脳内において情報を理解しようとする箇所である前頭前皮質の反応が強かったとの研究があります。(※)

紙の印刷物は反射光、パソコンのモニターは透過光であることから、校正をする際は文章をプリントアウトしたものをチェックする方が、脳の情報を理解する能力を発揮できると言えます。


2. ある程度時間を空けてから数回に分けてチェックする



同じ文章を繰り返し続けて読んでいると、集中力が低下し、誤字脱字などのミスに気づきにくくなります。そのため、校正をする際はある程度時間を空け、数回に分けてチェックすることが大切です。

チェックを数回に分けるときは、一章ずつ、数ページずつという分け方ではなく、最初はひらがな、次にカタカナ、その次は漢字、といったようにチェックすることがポイントです。

3. 文書の内容を追わずに「文字」を意識してチェックする



校正をするときは、文書の内容を追わず「文字」を意識して見るようにしましょう。文章の内容を追ってしまうと理解するために考えたり、脳内にイメージが湧いてしまったりするため、その分脳のリソースを割いてしまい、ミスに気付きにくい状態に。また、集中力を保つ時間も短くなってしまうでしょう。

文字を記号として捉えることで、より誤字脱字、表記ゆれなどのミスを見つけやすくなります。

4. 素読みする



校閲で重要な作業である「素読み」は、校正の際も大いに役立ちます。

素読みとは、原稿の内容を考えず、音読みすることです。実際に声に出して原稿を読むことで、違和感のある言い回しや助詞のミスに気付くことができます。また、目で文章を追って黙読するだけよりも、誤字脱字も見つけやすいでしょう。

校正と校閲の違い



校正と混同しやすい作業に「校閲」がありますが、この2つには大きな違いがあります。

校正は字句や記号の表記に誤りがないかを確認して修正する作業



校正は、文章の内容を読まずに徹底して文字や文章に誤りがないかをチェックする作業です。ひらがな、カタカナ、漢字などの誤字脱字のほか、熟語や助詞、ことわざなどが正しく使われているか、言い回しに違和感がないかなどを細かく確認し、修正します。

校正は主に「突き合わせ」と「赤字照合」の2つの作業に分かれています。突き合わせは、原稿と印刷物を比較し、文字に誤りがないかを一文字ずつ確認していく作業です。

赤字照合は、校正の全段階においての修正点に対して、修正内容がきちんと反映されているかどうかを徹底してチェックします。

校閲は文章の内容に誤りがないかを確認して修正する作業



一方校閲は、文章を読み込み内容に矛盾がないか、情報に誤りがないかを確認する作業です。校閲は主に「素読み」と「事実確認」の2つの作業があります。

素読みは原稿を読み、内容や表現の一貫性、誤字脱字や表記ゆれがないかなどを客観的な目線でチェックしていく作業です。

事実確認は、実際に原稿に書かれている情報の正誤を確認する作業です。

歴史や実際にあった事件など、史実を取り上げる場合は人名や固有名詞、地名、法律、数字のデータなどの情報が正しいかどうか、書籍や新聞、信頼性の高いウェブサイトなどを元にチェックします。

校正は文章の内容を読むのではなく文字を記号と捉えることが大切



自費出版の多くは、原稿の執筆から校正、校閲と、全て自分でこなさなければなりません。

しかし、やり方やコツがわからないと、時間ばかりかかって効率的に作業ができない場合があります。

校正の精度を上げるコツは、文章の内容を読むのではなく、文字を記号として捉えてチェックしていくこと。また原稿の確認は数回に分けて、時間をおいて行うことが大切です。

自分が書いた文章と長時間向き合い続けていると、客観的に見られなくなってしまいがち。一旦落ち着いてから見直すことで、内容だけでなく文章の正しさも判断できるようになるでしょう。

こちらの記事の監修者

自費出版の風詠社コラム編集担当 大杉剛

  • 株式会社風詠社代表取締役社長。
  • 1979年3月、早稲田大学第一文学部ロシア文学専攻卒業。
  • 畜産関係業界紙編集記者を経て、印刷会社でシャープ(株)の社内報編集を担当。
  • その後、東京および関西に本社を置く自費出版会社3社に勤務し、企画・編集した書籍は450点以上。2008年に株式会社風詠社を設立。自費出版の編集歴は30年以上。
  • コラムでは、読者の皆様や自費出版を検討されている方に、有益な情報をお届けすることを目標に執筆しています。

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