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「乱丁」「落丁」とは?

書籍の巻末でよく見る記述に「乱丁・落丁本はお取替えします」という言葉があります。いったい「乱丁」「落丁」とは、どういう意味なのでしょうか。

今回は出版業界で使われる、乱丁と落丁の言葉の意味や違いといった基礎的な知識から、製本工程で落丁・乱丁が起きてしまう原因まで解説します。後半では自費出版の際に製本ミスがあった場合の対応も紹介しますので、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。

「乱丁」とは


乱丁(らんちょう)の「丁」とは「ページ」の意味。乱丁とは書籍の「ページが乱れた」状態のことです。書籍を製本する際に、ページの順番が前後して綴じられてしまうことで発生します。小説ならば話の内容が前後するため、読者が混乱してしまうでしょう。

ページが合わないだけでなく、ページの天地が一部、逆さまになった状態で綴じられているのも乱丁と呼びます。これも読者にとってはストレスです。

なぜ乱丁が起きてしまうのでしょうか。その理由は書籍の印刷・製本工程を理解することでわかります。

そもそも書籍の本文は、1ページずつ印刷するのではありません。通常は大きな用紙に8〜16ページ単位で面付けして印刷しています。その大きな用紙を折り機で8ページ分を4つ折にしたり、16ページ分を8つ折りしたりして、「折丁(おりちょう)」と呼ばれる小冊子の状態にします。複数の折丁を順番どおりに綴じれば1冊の本の完成です。

折丁を順番どおりに並べて綴じる作業を「丁合(ちょうあい)」と呼びます。例えば160ページの書籍なら、16ページ単位で折られた折丁の1〜10折を順番に丁合して1冊の書籍にしているのです。

しかし、丁合作業の際に1〜10折の順番を間違えてしまうと、8〜16ページ単位でページが入れ替わってしまいます。また折り機で大きな用紙を折る際に、折る順番や方向が間違っても、ページが前後したり天地が逆さまになったりするのです。

「落丁」とは


落丁(らくちょう)とは「ページが抜け落ちている」ことです。ページが抜け落ちてしまうと、小説なら話が飛んでしまって読者がストーリーを理解できません。自分史では一時期の記述が抜け落ちてしまうでしょう。

落丁も丁合を行う際のトラブルで起こります。先ほど8〜16ページ分の折丁を順番に並べて綴じることで、1冊の書籍ができると説明しましたが、綴じる際に誤って特定の折丁を挿入し忘れたまま製本した場合に起きるのが落丁です。折丁が抜け落ちると間にあるべきページが飛んでしまい、16ページの次が33ページになったりします。

折丁を綴じる丁合機には、乱丁・落丁をチェックする検知器やCCDカメラなどが搭載されるようになったため、近年そうしたミスはほとんどありません。
しかし、トラブルはゼロではありません。

例えば折丁が紙詰まりを起こして丁合機が止まったときは、詰まった折丁を取り除いて、新しい折丁を挿入する必要があります。この際に間違えた場所に折丁を挿入してしまったら、ページが順序どおり並んでいない乱丁本になってしまいます。また新しい折丁の補充を忘れたら落丁本になるでしょう。

書店で購入した書籍に乱丁・落丁があったら、巻末に載っている出版社の連絡先にその旨を告げてください。新しい書籍と交換してもらえるはずです。製本ミスがあった書籍を着払いで郵送すれば新品を送り返してくれる出版社もあります。巻末の記述を確認して交換してもらいましょう。

自費出版での乱丁落丁


自費出版で自分の書籍をつくる際にも、乱丁・落丁が発生してしまう可能性はゼロではありません。万が一、そうした製本ミスが起きた場合、どう対応したらよいのでしょうか。

製本ミスには通常、出版社や印刷会社が責任を持って対応します。心配なら自費出版を依頼する出版社や印刷会社に、製本ミスがあった場合にどう対応するかを確認しておくとよいでしょう。
製本ミスがあった場合、通常は部数を無料で刷り直すケースがほとんどです。中には返金によって対応する出版社や印刷会社もあります。会社によって対応が異なるため、正式な契約を交わす前に確認しておきましょう。

刷り上がった本が手元に届いたら、乱丁や落丁がないか、自分で確かめておくことも大切でしょう。多くの部数を出版した場合、全ての書籍をチェックしていくのは大変ですが、数冊をランダムに選んで、ページが飛んだりしていないかを調べてみるだけでも有効です。
チェックして万が一、製本ミスに気付いたら、早めに出版社や印刷会社に連絡して、その旨を告げてください。届いてからすぐにチェックすれば、出版社や印刷会社も対応しやすくなります。

乱丁・落丁だけでなく、裁断ミスや紙の破損、印刷のズレなどがあった場合も、早めに連絡するとよいでしょう。1年以上の時間が経ってから気付いて連絡した場合、本の入稿データが残っていない可能性もあるからです。

まとめ


ページが乱れる乱丁やページが抜け落ちる落丁は、印刷技術の進化でほとんど見られなくなりました。それでも製本トラブルが起きてしまう可能性はゼロではありません。自費出版を考えている方は、心配なら事前に出版社や印刷会社の対応を確認しておきましょう。

自分の書籍をつくって世に送り出すなら、内容はもちろん、品質的にも満足できる一冊を読者に届けたいもの。友人や知人、関係者に贈るならなおさらです。ぜひ製本の品質にもこだわっている出版社や印刷会社に依頼するようにしてください。

こちらの記事の監修者

自費出版の風詠社コラム編集担当 大杉剛

  • 株式会社風詠社代表取締役社長。
  • 1979年3月、早稲田大学第一文学部ロシア文学専攻卒業。
  • 畜産関係業界紙編集記者を経て、印刷会社でシャープ(株)の社内報編集を担当。
  • その後、東京および関西に本社を置く自費出版会社3社に勤務し、企画・編集した書籍は450点以上。2008年に株式会社風詠社を設立。自費出版の編集歴は30年以上。
  • コラムでは、読者の皆様や自費出版を検討されている方に、有益な情報をお届けすることを目標に執筆しています。

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