自費出版の風詠社コラム編集担当 大杉剛
- 株式会社風詠社代表取締役社長。
- 1979年3月、早稲田大学第一文学部ロシア文学専攻卒業。
- 畜産関係業界紙編集記者を経て、印刷会社でシャープ(株)の社内報編集を担当。
- その後、東京および関西に本社を置く自費出版会社3社に勤務し、企画・編集した書籍は450点以上。2008年に株式会社風詠社を設立。自費出版の編集歴は30年以上。
- コラムでは、読者の皆様や自費出版を検討されている方に、有益な情報をお届けすることを目標に執筆しています。
目次
書籍の委託販売とは
書籍の流通のほとんどは、出版社‐取次(出版販売会社)‐書店というルートを通ります。
トーハン、日販、大阪屋など、取次は、言うなれば書籍の問屋で、全国の書店は、この取次のいずれかと契約しています。書籍はここを通じて配本されます。(コンビニや駅の売店への流通は別です)
書店で売れ残った書籍は、書店から取次(の物流倉庫)に戻され、その書籍の販売状況などを確認しながら、ストックしても注文が来ないようであれば、出版社(の物流倉庫)に返本されます。
書店の売上代金は、取次に入金され、諸経費を精算した後、出版社に入金されます。(出版社に入金される比率は、定価の70%前後です)
取次は書籍流通の要であり、出版社も書店も、ここを通さなければ書籍の販売ができません。
ところで、日本の書籍販売の特徴は、一般の商品の販売と異なり、委託販売制度を業界として採用していることです。
委託販売制度とは、書店が仕入れて売れ残った書籍を返本できる制度のことで、書店には仕入れのリスクが生じない制度です。
つまり、他の商品のように買い切り商品ではなく、預かり(委託)商品だということです。
ですから、出版社から見れば、新刊配本した書籍や書店からの注文は、出品したにすぎず、実際に売れたわけではありません。
実際に売れた「実売部数」が判るのは、自由に返本できる期限が一般的に発売から6ヶ月ですので、その時期が過ぎて返本が無くなってからとなります。(とはいっても特例で書店からの返品は続くこともよくあります)
委託ですので書店にはリスクはないものの、いくらでも配本できるかというと、そんなことはありません。近年特に、取次の窓口では、返品率が高くなることを避けるために、かなり厳しく委託配本の取扱い部数を絞っているのが現実です。
自費出版の風詠社コラム編集担当 大杉剛