自費出版で絵本を作るために知っておきたいこと
身近になった絵本の自費出版
子どもたちが大好きな絵本ですが、最近は大人の間でも人気が高まっておりブームとも言える状況です。まだ字の読めない子どもたちのために描かれる絵本は、ひと目見ただけで情景を読み取ることができます。本の読み聞かせは昔から子ども教育の一環として重視されて来ましたが、親子のコミュニケーションツールとしても注目を集めています。
絵本人気の高まりの中、自分でも描いてみたいと思う人も増え、絵本作家を目指す人を対象にした教室や通信講座も人気です。そしてITの進歩で出版が容易になったこと、電子書籍の広がりなどを背景に
自費出版も増えています。
自費出版とは、著者自らが費用を負担して本を出すことで、出版社が企画し費用を負担する商業出版と相対する言葉です。通常の書店で販売されることを前提とした商業出版物と異なり、家族・知人などに配る私家版からインターネット販売だけのもの、書店での販売を視野に入れたものまで流通・配本スタイルもさまざまです。絵本の
自費出版の費用は、サイズやページ数、素材や装丁、部数などにより大きく異なります。依頼する業者によってもかなり幅があるため、事前に複数の業者に見積もりを取り、納得がいくまで比較・検討することが大切です。
見積もりの段階では、必ずしも絵本が出来上がっている必要はありません。むしろ完成前に
自費出版の方法や可能性について知っておくことで、本を作るモチベーションがアップするとも言えます。相談の段階でプロのアドバイスを受けることができたり、中には企画出版と言う形で費用を負担せずに済むこともあります。
自費出版を考えている場合は、信頼できる業者探しから始めるのがおすすめです。
絵本を自費出版するメリット・デメリット
自費出版の最大の魅力は、自分の描いた作品が製本のプロの手によって完成度の高い絵本となることです。世界でたったひとつしかないオリジナルの作品を創り上げたことは、一生の記念になるのはもちろん、その後の人生においても大きな自信になることでしょう。
一度経験した人の中には、その後も続けて
自費出版を行うケースもあり、費用を負担しているにも関わらず本を出すことに対する高い満足度が伺えます。家族や知人に配るのはもちろん、売れた場合には憧れの絵本作家になることができます。流通・販売コストを低く抑えることができるインターネット販売は特に人気が高いようです。
その反面、
自費出版にはデメリットもないわけではありません。
自費出版の最大のデメリットは費用です。以前に比べ安くなったとは言っても、出版にはそれなりの費用がかかります。絵本の場合、ハードカバーやカラーなどを選ぶことが多く、コストも高くなりがちです。また、販売を行う場合には販売費用がかかるのはもちろん、売れなかった場合の精神的ダメージもデメリットと言えます。絵本の
自費出版は、自分の思い出作りや家族の笑顔を中心に考えるのが良さそうです。
絵本を
自費出版するためには、まず原稿を完成させなければなりません。絵から取り掛かる人、文章を先に完成させる人など描き方は人それぞれですが、ページ数は必ず4の倍数である必要があります。絵は手書きのほか、パソコンで描く方法もあります。実際のサイズと同じ大きさで描くのが基本ですが、外側に3mmほど「塗り足し」を設けること、「のど」と呼ばれる中央の綴じ部分に主要な部分・文字を描かないことなど絵本独自のルールがあるため注意が必要です。
原稿が完成したら出版社に送付、見積もりを取ったうえで出版契約を交わします。中には契約後、入稿と言う流れの業者もあります。インターネット・書店での販売を希望する場合には、契約の際に販売方法と印税について決めておく必要があります。印税については、公式サイトなどで明示している業者も多いようです。販売には費用がかかる場合があるため、この点についてもしっかり確認しておきましょう。入稿後、校正・修正などを経て編集作業が終わります。その後、装丁デザインを経て印刷工程に入り、製本された本が著者の元へ届きます。
私家版の場合はこれで終了となりますが、契約の内容によってはインターネット販売や書店での販売が行われます。書店販売には注文を受けてから配本する注文配本と、全国の書店店頭に並べてもらう委託配本があり、委託配本は露出が増えるメリットがあるものの、流通コストがかさむのがデメリットです。
本が売れた場合、販売実績に応じて出版社から印税が支払われます。出版契約はここで終了となりますが、著者に所有権のある
自費出版では在庫は無料で引き取ることができます。ただし、出版社が一部費用を負担する「共同出版」の場合には、買い取りが必要な場合もあります。契約終了後も販売を継続したい場合には、契約期間の延長も可能ですが、契約の延長には費用がかかる場合があるため注意が必要です。