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自費出版の著作権と出版権について

一般的に商業出版の場合には、作者(著作権者)が出版権(版権)を使用することを出版社に許諾し、その代わりに著作権使用料(印税)と呼ばれる使用料を出版社より得る形がとられています。通常、出版社と著作者が取り交わす出版契約書の冒頭の条文にこの権利の所在については明記されます。
ちなみに、この印税の支払い方は様々で、出版社が著作権者に、一定額をあらかじめ支払う方法、販売された本の部数に応じて支払われる場合などが一般的です。
知名度の高い作家などは決まった額で契約することが多く、これは出版社がその作家の本は発行すれば確実に売上げが見込めるからで、予めその利益を見越した額を作者に支払うことで、作家が他の出版社に流れることを防ぎ、且つ自社の利益を確保しようとする方法です。

一方、出版社を通しての自費出版の場合、著作権と出版権はどのようになるのでしょうか。
この場合も、出版社を通じて書店流通する形の自費出版であれば、商業出版と同様、出版契約書を交わすことで、著作権者と出版権者が設定されます。
多くの場合、その作品を創作した作者が著作権者となり、印税を受け取る権利を有します。出版権は、その出版社に設定され、その作品については、出版契約の存続期間中は、通常、他の出版社から出版できず、この権利は出版契約が切れるまで保護されます。
したがって、出版契約期間があまり長いと、その本が人気を得て、他の大手出版社から、「文庫本として出版したい」というようなオファーがあった場合、版権を持つ出版社がノーといえば、その作品は、契約期間が終了するまでその大手出版社から出版できない可能性があります。通常、出版契約書で設定される出版契約期間は、1年から3年程度が多いようです。
また、これも出版契約書に明記されることですが、たとえ出版権を有する出版社であっても,著作権者に作者に無断で増刷を行ったり、作品の内容を改ざんしたり、定価を改定したりすることはできません。

さらに、自費出版して書店流通したものの、売れ残った本の権利は、どうなるのでしょう。
出版契約に際して、この点を出版社に確認されることをお勧めします。
本の制作費など、ほとんどの部分を著者サイドが負担して作った本です。売れ残ったからといって、出版費用を負担した著者に無断で処分されてはたまりません。風詠社の場合は、出版契約期間終了時に、出版契約延長を希望する、しない、をお聞きし、在庫分についてはご希望の冊数を無料(送料のみご負担いただいています)著者にお送りしています。

なお、いわゆる私家版と称される書店流通しない自費出版の場合、著作権はもちろん作者にあります。そして、その作品を制作する印刷会社や出版社には出版権は設定されません。本が完成すれば、全冊納品された段階で業務終了ですが、何ヶ月か経った段階で、増刷が必要になるかもしれません。そんな場合に備えて、書籍製作請負契約書などを交わし、書籍データを1年なり2年なりその会社が保管する義務を明記することをお勧めします。




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こちらの記事の監修者

自費出版の風詠社コラム編集担当 大杉剛

  • 株式会社風詠社代表取締役社長。
  • 1979年3月、早稲田大学第一文学部ロシア文学専攻卒業。
  • 畜産関係業界紙編集記者を経て、印刷会社でシャープ(株)の社内報編集を担当。
  • その後、東京および関西に本社を置く自費出版会社3社に勤務し、企画・編集した書籍は450点以上。2008年に株式会社風詠社を設立。自費出版の編集歴は30年以上。
  • コラムでは、読者の皆様や自費出版を検討されている方に、有益な情報をお届けすることを目標に執筆しています。

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